消された「記憶」
一昨年、2012年以来、GP2が名前を変えFIA F2選手権が復活した。しかし、先日のような大事故が起きてしまった。しかし、ユベールの死の10年前、もう一人の青年が命を落としていた。
彼の名前はヘンリー・サーティース。モータースポーツファンならば知っているであろう、ホンダ1期F1ドライバーであるジョン・サーティースの息子だ。
2009年から始まったF2選手権に参戦し2度のポールポジション、1度の3位表彰台を獲得した。
しかし、その3位表彰台を獲得した翌日、彼は帰らぬ人となった。
F2第4戦ブランズハッチGPレース2。ジャック・クラークがクラッシュし、タイヤが外れ、サーティースの頭部を直撃。サーティースはそのまま直進しバリアに突き刺さった。
懸命の治療にもかかわらず残念ながら命を落とした。18歳だった。
直後のF1ハンガリーGPにて、フェリペ・マッサのヘルメットにブラウンGPのパーツが直撃。あわや命を失いかけない大事故となった。
それ以来、FIAは頭部保護デバイスの開発をしていたが、2014年日本GPにおけるビアンキの事故、インディカーにおけるジャスティン・ウィルソンの事故により頭部保護デバイスHaloが採用されることとなった。
しかし、もう少し早くHaloがフォーミュラカーに装備されていれば、ビアンキはもちろん、F1テスト中の事故により、その後遺症が原因で翌年に亡くなったマリア・デ・ヴィロタなどが命を落とすことはなかったのではないかと思う。
だが、2016年の開幕戦のアロンソのようなクラッシュの後、脱出が困難となる場合もある。
FIAも苦渋の決断だったのであろう。